彼女の姿が見えない、なんて。 誰かが言い出したから自然と瞳が彼女の姿を求めた。 声が聞こえないことが不安なのか、その姿が見えないことが寂しいのか。 それはわからないけれども、其処にいることが当然となっていた少女の鮮烈な『赤』 ふわりふわりと、彼女の変わりに視界に飛び込んでくる春の色。 お菓子のように柔らかな色は春の到来を告げて、全ての人に優しく微笑みかける。 そのくせ自己主張をするようにはらはらと視界を受め尽くす。 「―――――――――あ。嶺!!いたいた!」 「え?あ、ホントだ…何やってんだよこいつは…」 風景に埋もれるように穏やかな寝息を立てていたのは探していた幼馴染。 桜の中に極当然のように溶け込んだのは何も彼女の髪の毛の鮮烈な赤のためばかりではなかろう。 「…どーするよ。」 「ま、いーんじゃね?急いでねーし。」 桜の欠片を髪にまとわせて風景の一部となっている少女。 なんだかその『風景』を壊すのも無粋な気がして―――今はこんな穏やかな時間を過ごすのも悪くない。 rewriteさまよりお借りした『桜花五題』より『髪に桜の欠片を』 もうこれは迷うことなくうちの娘、輝原桜華で制覇させていただきます!!!(愛) この絵はさっとイメージが湧いて、線画だけは結構前に書いたままおいてありました。 ドローインクにパステル着色です。 上の文は夢見てます、気にしないでくださいいいんですもう。 桜が咲いた季節は桜華にとって大好きな二人との思い出の季節でもあります。 11月生まれなのでちょうど庵が一人前になるあたりに4月を迎えたことになりますね。 同時に桜が咲く時期は彼女にとって悲しい時期でもありました。それはまた別の時に。 そんなに桜華が好きかと言われそうですが。 ええ。大好きですとも。 戻る |