俺屍2プレイ記録 氷渡逢良の血脈   その四


  初代・逢良  1120年1月

年が明けて、1月。
先月の百鬼祭りで、盗まれた祭具の一つ「雪見ノ礼杯」だけは取り返しました。
これでお祭りが一つ復活するよ! とコーちんは言ってくれたし、めちゃくちゃ楽しみにしている様子です。
神様の力も少し復活したそうで、一歩前進……ではあるはずですが、手放しに喜ぶ気にはとてもなれない三兄弟。
倒さなきゃいけない晴明の、あんな化け物っぷりを見せつけられちゃなぁ…。これからどうしたもんか……

しかも追い打ちをかけるかのようにコーちんから急報。

なんか神様が大勢地上に降りて、こちらの敵にまわったらしいです。
うおぉいちょっと待て! 祭具を取り戻すための戦いは、ひいては天界のためでもあるはずなのに何故!?
一体どうなってるんだか…今度黄川人に会ったら事情聞いてみないと。

…と、いろいろ重なって逢良が頭を悩ませているところに、今度は田鶴姫と力丸が訪ねてきました。
田鶴姫は約束通り、を手に入れてきてくれたそうです。
姫はいろいろと情報を集めていたようで、この氷渡国の他にも一族が隠れ住んでいる国があるのを調べてあったみたいです。他国に赴き、一族の力を結集して祭具を奪い返してほしい、ということで船らしい。
しかしその船、実は朝廷から無断で持ち出してきたものらしく、「おまえらのために姫様は盗みまで…!」と力丸さんにはますます嫌われてしまいました。
…いやでもその船、多分あなたがここまで操縦してきたんじゃないの? そんなにも一族への肩入れが不服なのに、姫様の意向には絶対服従の力丸さん……忠実な従者って辛いな…(同情の目)

その二人が去って間もなくして、聞こえてきたのは祭囃子。
聞けばさっそく冬のお祭り、「灼熱雪祭り」が開催されているらしいです。仕事早いな氷渡国のみんな!
そわそわしながら「見にいこうよ〜」とねだるコーちんに、当主様ぱっと笑って、「そうだな、見に行くか! せっかくだから今月はのんびりするぞー」と宣言。
「え、でも…」と言いかける律哉を「よーっし行くぞ! ついでにお前の元服祝いだ酒飲んで来い!」と錬也が引っ張って、三人と一匹揃って街へ繰り出しました。

灼熱雪祭りの模様。なんと想像してたよりずっと賑やかで熱気に溢れています。
一朝一夕で調達したとは思えない立派な山車や神輿。きっと国が荒れ果てる前から使っていたのを大事に保管しながら、祭具が戻ってふたたび祭りができるようになる日を心待ちにしていたんだろうなぁ。
担ぎ手も氷渡国の男衆総出で…いやむしろ近隣の村からも呼び集めてきたんじゃなかろうかこの人数は。
みんな全力でお祭りを楽しんでいるんだということはよくわかりました。そんな中を三兄弟がぶらついてた日には「あっお兄さん、あんたらが祭具取り戻してくれたんだよな! 神輿担いでってくれよあんたらのおかげだよ!」「いやうちの酒を飲んでってくれ!」とか引っぱりだこになる気がする。
なにしろ初代の雪像まで作ってくれちゃってるくらいの大歓迎ぶりだからね! これには気持ちが嬉しいやら気恥ずかしいやらで、三人顔を見合わせて笑っちゃうと思います。

ひととおり祭りを満喫した後、
「よかったな」
ぽつりと、でもしみじみするようにそう口にした逢良に、律哉が「…そうだね」と答えました。
錬也はちょっと考えてから、いつもと変わらない口調で、「一緒に生き返ってここまで来たんだから、最後まで付き合うぜ。これからどうするにしてもさ」とだけ。逢良が笑顔を作って頷くまでに、数瞬の間がありました。


「今月、交神しようと思う」と逢良が弟たちに告げたのは、その数日後。
それは即ち、子孫に呪いを継がせてまでも打倒晴明の悲願を託す覚悟をした、ということでした。
その呪いを子供に背負わせるというのが嫌で、自分たち兄弟で何とかできないかと、逢良はコーちんの交神の勧めをずっとスルーしてきたのでした。しかし自分たちでは到底歯が立たないであろうことを実感した今、これ以上決断を先延ばしにはできません。
このまま血を残さないで終わりにするのもありかってちょっとは考えたんだ、と小さく笑う逢良。
でもやっぱり、そういうわけにはいかなかった。
ここで諦めて終わりにすれば、一族の汚名は雪がれないまま。四つの祭具は人の手に戻らず、ほんの少しの復興の兆しを見せたこの国も、やがては災害に沈むかもしれない。
もしかしたら自分たち以外にどこかで復活している一族が、いつかは悲願を果たしてくれるかもしれないけれど、だとすればなおのこと、自分はそれを背負わなくていいのか。それでよしとして死ねるか。
いろいろ悩んで自問自答して、とうとう腹をくくりました。

逢良 「後を託す子供が三人欲しい。だから錬にも律にも、一回ずつ交神してもらいたいと思ってる。
    でも、もし…」
錬也 「ま、当然それがいいだろうな! 三人いりゃ何とかやってけるよ。なあ律」
律哉 「うん。…俺たちがそうだったみたいに、だよね」
錬也 「そういうこった。相手の女神サマをどうするかさっそく考えないとなー」
律哉 「そうだ逢良兄さん、さっき何か言いかけなかったっけ。でも、もし……何?」
逢良 「…いや」

もしお前たちが嫌なら俺が三回交神するつもりだから── と逢良は言いかけたのでしたが、「なんでもない」と笑ってそれを飲み込みました。
逢良はあえて誰にも相談せず一人で決断をしたけれど、弟たちはその間ずっと、黙って待ってくれていたのです。もし嫌なら、なんて、二人にとっては今さらな話でした。
「希望の交神相手がかぶってたら譲ってやるぞー律、知ってんだぞお前面食いだろ」
「べ、別にそんなことないし大事なのは子供が受け継ぐ素質だろ!」
そんなことを言い合う二人を見て、俺より弟たちのほうがよっぽど覚悟が決まってたなあと、なんだか肩の力が抜けた気がする逢良でありました。


生まれてくる子の親神にと選んだ交神相手は、東風吹姫。
手持ちの奉納点の半分ほどを捧げてお願いします。近いうちにあと二回交神することも考えて残しとく。
それでも10点素質のこちらと比べれば遺伝情報はかなりのランクアップですよー。この素質バーの差!

「喜んで」と東風吹姫は笑ってくれたし、彼女はこちらの味方だと思っていいのかなとほっとします。
どうかいい子が授かりますように。

さてこの頃、他国の一族が氷渡兄弟のもとを訪ねてきました。


こんな顔触れ。
蘇芳(すおう)という名字を名乗る娘たちで、兄弟にとって見知った懐かしい顔だったりします。
氷渡家と同じく御所の警護番を務めていた家の三姉妹。あの時一緒に処刑され、きっとどこかで蘇生しているだろうと思っていた相手でした。

「信条:鉄心石腸」だけど信条に掲げるまでもなく頑固でちょっと気性の激しい長女・緋雨(ひさめ)。
可愛い顔して「風評:確信犯」というしたたか女子、笑顔に含みがありそうにしか見えない次女・志乃(しの)。
信心深いのかそれともお堅すぎるという意味なのか、「前世は:大僧正」という三女・佳澄(かすみ)。

せっかく交流要素のある今作、複数データ並行して進めて遠征とか傭兵とか行き来したら楽しいんじゃないかな! ということで立ち上げたもうひとつの一族です。あちらのデータからこちらのデータに遠征してきました。
つまり氷渡家じゃなくて蘇芳家側の一族史の1ページってことなんですが、妄想的には重要なので書かせて下さい。
ついでに言うと蘇芳家側のプレイでは1119年12月の出来事だったんですけど、1〜2ヶ月くらいのずれは気にしないことにしておく!


氷渡家と蘇芳家は一族の中でも近い血縁で付き合いも多く、比較的気安かった間柄。船を手に入れて他国の一族と力を合わせることを考えた時、真っ先に思い浮かんだのが彼女たちだったので、向こうから訪ねてきてくれたことはありがたい限りです。聞けば彼女らは遠く西の地、大隅で復活して機を伺っていたとか。
「九州からここまで来たんじゃ疲れたろ。ゆっくりしてきなよ」と逢良は歓迎。そう広くはないこの屋敷にもちょうど六人が寝泊まりできる部屋はあるので、コーちんに大急ぎで整えてもらいました。
緋雨さんは結構せっかちな人なんですが、さすがに長旅の後だし久しぶりの再会でもあるし、二泊ぐらいはしてったんじゃないかなという妄想。

一晩ゆっくり体を休めた後で翌日は街へ繰り出し、買い物ついでに一緒に幻灯も撮りました。

錬也 「おい…なんで幻灯撮る時だけしおらしいフリしてんだよ……後世に真実を残せよ真実を」
なんか似つかわしくないポーズの志乃にツッコミ入れずにいられない錬也。いいわぁこのカマトトっぷり。

そしてさらに、せっかくなので手合わせ(交流試合)もしてみたよ!
両家とも自動戦闘で、最初は術の撃ち合いになりましたが…

志乃の一薙ぎで前列の弟たちから潰されてストレート負けしました(笑)。
まあ、蘇芳姉妹は1119年の4月には活動を開始してたから、7月スタートの氷渡兄弟と比べれば一日の長があるし、あちらは三人とも属性武器にも恵まれていますのでね…(秋津ノ薙刀とか早々に拾ってた)。
それでも回復手段が整ってればもうちょっと善戦できたんじゃないかな、と思う部分はあり、これには末っ子の律哉が一番悔しがって、試合後にお地母の術(まだ逢良しか唱えられない)を練習していたようです。

その晩、三姉妹の長姉・緋雨が、「ちょっといい」と酒を片手に逢良の部屋を訪ねてきました。
「いいけど…こんな夜遅くに二人で俺の部屋?」
「お気遣いどうも。そんなこと気にしてられるほど余裕じゃないのよわかるでしょ。
 話しとこうと思ってることがあるの。あんたの弟たちに私から言う気はしないから、あんただけにね」
「…わかった。どうぞ、酒のつまみは用意できなくて悪いけど」
それ以上は聞かずに緋雨を招き入れた逢良。それから当主同士、部屋の小さな明かりの中で、しばし声を落として話し込んでいました。


翌日からは姉妹が氷渡国の龍穴鯉のぼりを探索していくというので、ちょうど手の空いている錬也が道案内がてら傭兵として同行することに。
広範囲攻撃職が四人中三人もいると討伐も快調! 氷渡家ではまだ手に入れていない緑の鍵を使って塞がっていた道を開け、洞穴の奥の開けた場所へ到達します。

ところが、その先で強敵接近警告が飛んでくるようになりまして。
うまく先手を取れているうちはまだ良かったのですが大将どころかお供の雑魚の攻撃でも3桁ダメージをくらうという状況の中、三姉妹は退却どころか回復術も使おうとせず、「どう考えても勝ち目ねェだろ逃げるぞ!」と錬也が無理やり逃水の笛を使って逃げてきた、という出来事がありました。
当主である緋雨の方針で、蘇芳家の家訓は「勇猛果敢」。妹たちの進言傾向はこのためだと思われますが…(ちなみに氷渡家は「臨機応変」)。
いくらなんでもありゃねえよと頭を抱えた錬也。あの戦い方じゃそのうち討ち死にする奴が出るぞ、と次女の志乃に忠告して帰ってきたのでした。

氷渡国の港を去る三姉妹を「じゃあ、また。元気で」と見送って、長いようで短かった1月も終わります。
もしかしたら今生の別れになるかもしれないな、とは、逢良も緋雨も口には出しませんでした。

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